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バハラグのホー×ビュウネタである [バハラグ]

昔のバハラグSSをリサイクルしてみた。
題はそのうち考えるよ!



携帯でアップしたら改行消えて読みにくいわ!!ヽ(`Д´)ノ




緑濃く生い茂る森の中、足元の草を踏みしめ、ホーネットは歩いていた。
数刻前、マハールラグーンの奥地に聳える山岳地帯で突如鳴り響いた爆音の原因を調べるためだ。
鬱蒼と、互いに複雑に絡み合いながら茂った木々は、まるで人間を拒否しているかのように頑なだった。
宙に張る枝で行く手を遮られ、地を這う根に足を取られそうになりながらも、森の中を流れる川を見つけだして、流れを伝って更に上流へと遡っていった。
このラグーンは水が豊富だ。
尽きることを知らない水が、止めどもなく湧きだし、あるいは天よりの雨となって地に降り注ぎ、幾筋もの流れを作っている。
その流れはある時は緩やかに、またある時は激しく、その表情は千差万別であった。
今、ホーネットが辿っている川は、地図で確認したところ湖を源に持っているらしく、かなりの水量があった。
ふと、足が止まった。
どこからか、この場にそぐわない臭いがしたのだ。
かつて嗅ぎなれた、懐かしいとも思える……それは紛れもなく血の臭いだった。
(ここからそう遠くない)
周りを見渡し、ある一点へと足を向ける。
草をかき分け、倒木を跨いで先へ進むと、次第に血の臭いも強くなってきた。
突然視界が開け、川の流れが比較的緩やかになっている場所に出た。
「あれは……人……?」
ゆらゆらと、水の流れにたなびく金糸が、葉の隙間から柔らかく差し込む陽の光に輝いていた。
急いで近寄ってみると、まだ年若い子供が水際に仰向けになって倒れているではないか。
年の頃14、5といったところか。
その身体はどこもかしこも傷だらけだった。
あちこちから流れでた決して少なくない量の出血により、周囲の岩や土を赤く染めていた。
まるでただ眠っているように閉じた瞼は、髪と同じ色の長い睫で縁取られていた。
鼻筋の通った顔や、血の気を失って色を失い、陶磁器のようにも見える顔は、その端正な造形も相まってまるで作りモノのような印象を受けた。
蟀谷から流れ出た血により顔半分が赤く染まり、その鮮やかな色彩が、その相手が人形などではない事を伝えている。
「どうしてこんなところにこんなガキが……」
思わずホーネットは呻いた。
鬱蒼と茂った森の中で、何故こんなにも場違いな子供が倒れているのかが理解できなかったのだ。
どう見ても冒険者の類には見えない。
かといって、観光目的でこのような深い森に入るような酔狂な人間にも見えない。
もっとも、この戦乱の中、冒険や観光などをする物好きはいないだろう。
(何にしろ、こんな所に寝かしておくわけにもいかないか……)
混乱を極めたこの時勢に、得体の知れない人間に関わることはしたくはなかったのだが、傷ついて意識を失っている人間を捨て置けるほど、冷徹ではいられなかった。
それに、ここまで調べに来た爆発音の原因を調べる手がかりになるかもしれない。
見るからに体重の無さそうなその身体を、水中から抱き上げる。
胸はーーーー無かった。
「………………なんだよ、男か」
その端整な顔と、肩までの長さがある金髪に、もしや女なのかと思っていたのだが、それはどうやら間違っていたようだ。
それにしても、男にしては綺麗すぎる彼は、一体どんな素性の少年なのだろう。
俄然興味が湧いてきた。
軽すぎるその身体を片腕に納め、より詳しく見分する。
傷が無いところを探す方が難しいのでは、と思うほど身体中大小の傷で覆われていた。
おそらく本人が咄嗟に庇ったのだろうか、比較的頭部や顔には傷は少なかったが、しかし、蟀谷に負った裂傷が一番の深手のようだった。
流血も止まらないまま、長時間水に晒されていたのだろう、その身体はおそろしいほどに冷え切っていた。
「……まだ息はあるが早いとこ医者に見せてやらないとまずい、か」
自分の着ていた外套で少年の小柄な身体を包んでやり、そのまま背中に担ぎ上げた。
「町までもってくれよ。せっかく見つけてやったんだからな。俺はもう、目の前で人が死ぬのは見たくないんだ」
少年に、というより自分に言い聞かせるように呟き、道なき道を戻っていった。
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